風流 積恋雪関扉

12番運行
歌舞伎部門

風流積恋雪関扉

上万場町若連囃子:小泉囃子若連

解説

仁明天皇は大変桜が好きであり、藤原良房の館の桜がことのほか美しいと云うのを聞いて、来年の春は是非花見に行くことを約束され楽しみにして居たが、天皇は春を待たずに崩御された。家来の良峰宗貞は、黒染桜の傍に庵を建て仁明天皇の菩堤を弔らっていた。逢坂の関の関守兵術(実は天下を狙う大伴黒主)は、かねて宗貞の恋仲の小町姫(桜の精)が訪ねて来たので二人の仲をとりもつが、落した割符(暗号)から関兵衛が怪しいと確証をつかみ小町姫を訴えさせるために帰し、宗貞は先帝をとむらい読経してるが、関兵衛は洒を吸み盃に映る星影から占い、今日今宵こそ、三百年を越えるこの桜を叨って護摩木を作り斑足大子の塚の神を祈れば、謀反の大願成就疑いなしとの掛を知り、桜の木を切ろうと大鉞(マサカリ)で切りつけた。すると黒染桜の精がまぼろしのように出て来て正体を見破り、大伴黒主の謀反の企てはたちまちにして崩れ去ったのであります。十七八四年十一月江戸桐座の顏皃丗に初演、以来通称“関の扉”として世に知られ屈旨の名場面であります。
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