曲目は「寄せ笛」・「二上がり」・「羯鼓」・「宿渡」の4曲
囃子の曲は、花車大八という侠客が京都祇園祭の囃子にヒントを得て作ったものだと伝えられています。曲目は、17地区ある囃子若連の共通の持ち曲である「羯鼓」と「宿渡」、関屋囃子若連などが山車が出発する前に集合の合図として演奏される「寄せ笛」、そして、囃子萩野若連のみに伝わる「二上がり」の4曲です。
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寄せ笛は「糸合わせ」とも呼ばれ、関屋囃子若連に伝わる曲で、戦争などで一時廃れたものの、40年以上前に長老たちの助言をもとに復元されました。笛1人と大太鼓・小太鼓1人の2人で演奏するもので、山車が出発する前に集合の合図として演奏される他、新庄まつり期間中、各行事の開始を知らせるために演奏されています。
はじめは笛の独奏で、遠くの山里を思い起こさせる味わい深い旋律を奏でます。この時三味線は、次の曲に備え、笛の音に合わせて調弦をおこなう。そのため、ここまでの部分を「糸合わせ」と呼びます。
続いて太鼓が入り2人の競演となり、この部分が寄せ笛、寄せ太鼓の見せ場です。連打する小太鼓が特徴的で、次第に晴れやかな門出を祝うような曲想に転じる、開幕にふさわしい序曲です。寄せ笛に続く曲は必ず宿渡とされます。
近年は、関屋囃子若連の他にも山屋囃子若連、鳥越囃子若連も演奏するようになりました。 -
「チェレンコヤッサー、チェレンコヤッソーレー」のかけ声に象徴される新庄まつりの代表的な曲で、悠長で哀調ある旋律として市民から広く親しまれています。素朴で情の厚い新庄人の心を見事に表現し、短い夏を一瞬のごとく楽しむ、切なさとたくましさを兼ね備えた名曲です。
曲名の「すくわたり」は「しゅくわたり」が訛ったものといわれています。 -
観客が大勢いる所や山車がすれ違う際などに演奏されるテンポの速い勇壮な曲です。
郷愁ある笛の旋律を躍動感あふれる太鼓が引き立てます。曳き手と囃子若連が一体となり「ホイサ」とかけ声をかけ、まつりを活気づけます。
宿渡がメロディックで女性的な曲であるのに対し、羯鼓はリズミカルで男性的な曲です。この対照的な組み合わせがまつりに変化と彩りを添えています。 -
囃子萩野若連にだけ伝承される二上がりは、人通りの少ない所を山車が巡航する時に演奏されます。曲の発生は、萩野地区に300年以上昔から伝わる鹿子踊と新庄の囃子の流れをくむといわれています。
全体のテンポは、宿渡よりもゆっくりで、抑揚を抑えた曲調が哀愁を感じさせます。