風流 森蘭丸奮戦の場

織田信長は、毛利祝と対戦していた羽柴秀吉の求援により、明智光秀以下に出陣を命じ、自らも赴援すべく京都四条本能寺を宿所とした。
天正十（一五八二）年六月二日未明、ときならぬどよめきに、目ざめた信長は襖ごしに「蘭丸あれは何ぞ」蘭丸「されば物見に」の一声を残し、廊下を駆け抜け高欄より、水色桔梗の旗印、境内に満つるを知る。
「謀反でござりまする」「惟任光秀に候」との蘭丸の報せに、信長はそのくせである首をかしげ「是非に及ばす」の一言をつぶやくのみであった。
織田信長は、森蘭丸以下近臣八十余名と必死の防戦を試みたが、光秀率いる鉄甲の人馬一万三千余には、抗するすべがなかった。
森蘭丸は、信長に仕え小姓となって寵愛されたが、本能寺で弟の坊丸・力丸とともに、信長の側近にあって戦死をした。
この場面は、明智方の三羽鴉と呼ばれた中の一人安田作兵衛国次と渾心の力で奮戦をする森蘭丸（十八歳）の勇姿であります。