復活通し狂言や古典の新演出、スーパー歌舞伎など三代目市川猿之助(現猿翁)の創造活動を集大成した「三代猿之助四十八撰」の作品のひとつで、平成八年に江戸歌舞伎の古式顔見狂言の復活を掲げ、約二〇〇年ぶりに復活上演された作品です。
帝の遁世を好機と左大臣高明は、姉の辰夜叉御前を蜘蛛の妖術で蘇生させ、天下をねらう。立ち向かうのは源氏の大将・源頼光と、家臣の四天王。同じく家臣で独り武者と呼ばれる平井保昌の弟・保輔は、袴垂の安と名を変え市井に無類の日々を送っていた。
そんな歌舞伎の場面(岩倉山の場では辰夜叉御前と渡辺源次綱の戦い。花山御所の場では四天王である坂田兵庫之助公時、碓井靭負之丞定光と土蜘蛛の精との闘い)を表し、辰夜叉の宙乗りを再現。舞踊的な土蜘蛛退治・大立廻りと見せ場を作成し”究極のスペクタクル”としてご覧に入れます。