武蔵は江戸初期の剣士でのり、幼名を弁之助と言い二刀流をあみだした二天一流の祖であり剣聖と言われた。又、小次郎は、つぼめ返しの剣法を持って常に物干竿のような長剣を使う有名な剣士、その二人が船島にて雌雄を決する場面であります。作者は、吉川英治の一郎、武蔵は小次郎に一言「小次郎敗れたり。」「なに。」「今日の試合勝負あった汝の負けと見えたぞ。」「だまれ何を言っている。」「勝つ身であれば、なぜ鞘を投げ捨てる!鞘は汝の天命を投げ捨てた。」と言う有名な言葉を残して「喝!」と小次郎の体へすべてを打ち込んだ。そして小次郎の身体はゆっくりと崩れた。武蔵の信じているものは精神剣であり、それだけの差であった。静かな死顔であった哀れな小次郎は武蔵の一撃で倒され宿命の対決は終わった。陽ざしは、うららかに、眠くなるような春の風が吹いていた。