宮本武蔵が剣の修業中に知人に会いに播州姫路の城下に入った。折しも城中に妖怪か現れると聞いた武蔵は城主本多忠政に会い妖怪退治を申し出た。美しいオサカベ姫が妖怪の化身と見破った武蔵は夜中に天主閣の上で姫を待ちうけ切りつけた。身をかわした姫は持った扇を武蔵に投げつけたが武蔵は小刀を投げそれが姫の喉元につきささった。すさまじい絶叫とともに年老いた三尾の狐が現れた。妖怪の正体は大きな三尾の狐であったのである。本多忠政は武蔵に城下にとどまるよう説得したが修業の途中と姫路の城を後にした。世に有名な小次郎との巌流島の決斗は数年の後の事である。生涯60余の試合に一度も負けた事がないという剣聖宮本武蔵の若き日の事であった。