船弁慶

17番運行
歌舞伎部門

解説

 文治元年(一一八五年)十一月、平家追討に功をあげた源義経だったが、兄頼朝から謀反の疑いを持たれ、鎌倉方から追われる身となる。義経は西国へ逃れるため、武蔵坊弁慶や伊勢三郎ら家来とともに、摂津の国、大物浦から出帆した。
 ところが、船が海上に出るや否や、それまで穏やかだった海がにわかに荒れ狂いだし、壇ノ浦で滅亡した平家一門の亡霊が波の上に姿を現した。なかでも総大将であった平知盛の怨霊は、何としても義経を海に沈めようと薙刀を振りかざして襲いかかる。
そこに弁慶が数珠をもみ、一心不乱に退散を祈り続けると、怨霊は次第に遠ざかり波間に消え、あとには白波だけが残った。
なお、この舞台では、出帆前に義経との別れを惜しんで舞を舞う静御前も配している。

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