一条天皇の時代、京で公家の姫君が次々と神隠しに遭った。安倍晴明に占わせたところ近江伊吹山に棲む「酒天童子」という鬼の仕業とわかり、帝は源頼光と渡邊綱ら四天王に命じ征伐へと向わせた。
頼光らは出羽羽黒の山伏を装い、八幡、住吉、熊野権現ら垂迹に導かれ酒天童子らが棲む鬼の居城にたどり着き、一夜の宿をとらせて欲しいと頼む。
警戒する酒天童子らに様々に詰問をされるがなんとか疑いを晴らし、酒を酌み交わして話を聞くと、酒好きが嵩じて家来の鬼たちから「酒天童子」と呼ばれていることや、比良山に住んでいたが最澄が延暦寺を建てて以来、近江伊吹山に棲みついたことなど、自らの身の上を語った。頼光らは八幡大菩薩から授かった「神便鬼毒酒」という鬼には毒となって強かに酔わせる酒を振る舞い、酔い乱れ眠った酒天童子の寝所を襲い首を刎ねた。
頼光らは首級を持ち帰り都に凱旋。首級は帝らが検分したのち、宇治の平等院の宝蔵に納められた。