富士の巻狩を催すために小田原を訪れ、富士山の麓の大磯の廊に骨休みをした御狩総奉行・工藤左衛門祐経。 十八年前、工藤に父、河津三郎祐泰を討たれた曽我五郎時致は、郎売に身をやつし、敵討ちに乗り込んできます。そこを「兄・十郎祐成とともに仇討ちすべき」と小林朝比奈にたしなめられ、「ここに兄さえいれば」と無念泣きする。工藤は「富士の巻狩の総奉行を務めあげたら兄弟の仇討ちに応じる」と約束し、五郎に狩場の絵図面を投げ与えます。 日本三大仇討ちの物語のひとつ「曽我物語」を題材に、五郎と工藤の対面を描いた演目です。