風流 富士の巻狩(仁田四郎忠常の高名)

11番運行
物語部門

風流富士の巻狩(仁田四郎忠常の高名)

松風会囃子:小月野囃子若連

解説

建久三年(西歴一、一九二年)源頼朝は、鎌倉幕府を開いて武家政治六百年の基礎を昨った。
翌四年五月、頼朝は将士を率いて富士の裾野に於いて大巻狩を催した或る日、幾十年経たとも知れぬ一頭の大猪、砂塵を捲き上げ、地を鳴らし、牙を剥き、山下目がけて猛進、はやくも二人、三人その牙に斃された。
折しも豪胆を以って作に聞えた仁田四郎忠常、愛馬を馳せ現れ、「ヤア、ヤア、不甲斐無き哉、各々方』と大音量に呼ばわり、一鞭当て駈け寄りざまにヒラリと飛び乗り暴れ狂う猪の尻尾を握り、腰の一刀引抜き、柄をも通れと胴中に突き立てた。
さすが狂暴の大猪も勇壮果敢な忠常に抗する術もなく遂に刺斃されたのであります。
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