風流 風林火山「川中島合戦前夜」

13番運行
物語部門

風流風林火山「川中島合戦前夜」

末広町若連囃子:角沢囃子若連

解説

永禄四年(一五六一年)八月十四日、上杉謙信は一万八千の兵を率いて越後の春日山城を出発した。一方の武田信玄も十八日一万六千の兵で甲府を出発した。武田軍は二十四日に川中島に到着し、すでに着陣している上杉軍と対峙した。二十九日には海津城の城主高坂弾正の兵と合流し二万の軍勢となった。そこで信玄は軍勢を二手に分け一万二千を上杉軍のいる妻女山に向け九月十日の卯の刻を総攻撃と定め妻女山から上杉軍を追い出し、信玄率いる本隊八千が挟み打ちにする啄木鳥(きつつき)の兵法をとった。謙信の密命を受けた忍びのくの一は信玄の本陣深く忍び込み明朝の総攻撃を知った。武田信玄の山本勘助は忍びの心得もあり、くの一の正体を見破り捕えようとしたが、くの一は貂(てん)〔いたち科の動物〕を放ち武田軍の混乱の隙に脱出した。報告を受けた謙信は敵の裏をかくべく全軍をその夜のうちに妻女山から出て千曲川を渡った。九月十日未明もやの立ちこめる川中島で一万八千の上杉軍は信玄の本陣めがけて突入した。千曲川を血で染めた川中島の合戦は今こうして始まったのである。
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