今からおよそ八百年程前第七十六代近衛天皇の御代、中国より渡り来たる妖狐が変化し玉藻の前となり、帝を魅入らせ給いしが、安部泰成の祈祷により九尾の大狐は正体を現わし都より東の空に飛び去ったが、またまた東の国に狐の仕業と思われる出来事を耳にする様になった朝延ではたまりかねて、上総介、三浦介に妖狐を退治せよと命を下した。二人は幾度となく妖狐と出合うが翻弄されるのみであった。思い余った二人は神に百日の祈願を行い狐退治の妙法の御告げを受け、神の力もあずかってか上総介の弓の矢は見事これを射抜き三浦介によってとどめを刺され首尾よく退治した。悪狐の魂は生殺石と化し近よる生物を殺し恐れられていたが玄翁和尚の鉗槌で打砕かれ調伏されてしまった。