ここは桜が盛りの吉原仲の町、吉原三浦屋お抱えの太夫である揚巻が格子先でひとしきり思案しています。そこへ、今評判の伊達男である、花川戸の助六が颯爽とあらわれます。揚巻に入れあげている髭の意休、手下をつれて毎日のように吉原に通っていますが、いくら口説いても助六に惚れている揚巻は、なびく素振りすら見せません。そんなつれない揚巻におもしろくない意休は助六に悪口をぶつけます。その悪口に揚巻は堪忍袋の緒が切れ、数々の悪態を意休につきます。意休は耐えかねて刀の柄に手をかけますが、それに揚巻が啖呵をきりました。
助六は、父が討たれたときになくなった源氏の宝刀「友切丸」を探すため、吉原で喧嘩をふっかけては刀を相手に抜かせていたのです。悪態をつく意休が抜いた刀こそまさに父の残した「友切丸」。
助六は意休を討って刀を奪い返し、揚巻の助けにより吉原を抜け出していくのでした。