風流 最上白髭沼の龍神伝説

9番運行
物語部門

風流最上白髭沼の龍神伝説

新松本町若連囃子:泉田囃子若連

解説

鮭川村の日下から清水坂を下り、槙新田に行く道端の田んぼに、白髭沼という小さな沼があった。深さは底知れず、隣村までつながっているとのことである。この沼に主がいて、酒樽や徳利を投げ入れて祈ると、どんな日照りでも雨を降らせると伝えられていて、「雨乞いの沼」ともいわれていた。
昔、香雲寺様という新庄の殿様がそのことを聞いて、「その沼を干して、主の正体を見とどけてやる」ということになり、新庄藩の家来の見守る中で大勢の人夫達が七日間にわたって沼の水を汲み上げたが、一向に水は減らず七日目を迎えた。すると突然空が暗くなり、雷鳴が轟き天を返したかと思われる大雨が降って来て、何やら得体の知れない声が聞こえて来た。
殿様は何かを悟り、「沼の主の正体は予が見とどけた、みなの者、休め」と命ずると、今までの嵐が止み元の空になった。殿様は馬に乗って帰る途中、沼の主が龍神となって追いかけて来たため、宝刀を抜いて難を逃れたが、馬は龍にかまれて死んでしまった。この場所を今も乗馬長嶺と呼んでいるそうで、水の神を龍にたとえてそれを崇める、古くから伝わる最上地方の伝説です。
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