里見義実の娘、伏姫は、かつて義実によって処刑された悪女・玉梓の呪いによって、飼い犬の八房と夫婦になり山の中で暮らす。ある日、伏姫は仙童に「八房の子が出来ている」と告げられ思い悩み自害。だが、形のある子が出来たのではなく「気」だけの子が出来ていたのだ。その時、伏姫が持っていた数珠の「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の文字が浮きでた八つの大玉が「気」とともに空高く飛び上がり、散り散りになり遠く飛び去ってゆく。やがて関八州各地に、犬で始まる名を持ち、体に牡丹のあざがあり、文字の浮きでる玉を持つ若者が生まれる。「気」だけで生まれた八人の子が「形」を成したのである。これが八犬士である。別々の場所に生まれながら宿縁に導かれて集まり、やがて里見家に仕える。