本名題は、倭仮名在原系図(やまとがなありわらけいず)と言います。宝剣粉失のため、須磨に流された在原行平はようやく許されて都へ帰り、海女の松風を連れて来ました。奴蘭平は、松風を迎えに行き、そこで、刃物を見て気がおかしくなり、あらぬ事を口走り踊り狂うや舞い上がりました。その為、この題を蘭平物狂と言って有名です。奴蘭平とは仮の名で本名は伴義雄と言って行平のために滅ぼされた主家の仇を討つために気違いのまねをしていたのです。だが行平に見つけられ大勢の家来に取り囲まれる蘭平、蘭平の子繁蔵は行平の命令で父親に十手を向けて立ち向かうが、親子の情にかられ、縄をかけかねていると、蘭平は我が子の手柄にさせようと決心し、盗んだ宝剣を行平に返し我が子の縄にかかると言う物語です。