風流 奥州相馬大蛇記

12番運行
物語部門

風流奥州相馬大蛇記

上金沢町若連囃子:不明

解説

今を去る四六六年前の永正元年、奥州相馬領行方郡大悲山でのことである。山の麗、吉名村に住む盲目のビワ法師、玉都が眼疾の治癒祈願のため百日の願をかけ大悲山の薬師如来に十七日の通夜をした時器量世に秀れた若待が一人参詣し玉郎と共に通夜した。そこで二人が色々と打解けよもやま話の末、待が涙を流して話すには、実は和御堂の前に住む大蛇である、今は身の丈五四丈にもなり住むところがないため、近々大雨を降らせ、この土地三里四方を湖として自分の注みかにするつもりだ。しかしお前だけは助けてやると云って帰って行った。それからしばらくすると薬師如来の化身である少女が現れ玉都に「今生で自分一人の命が助っても数万人の方々を殺しては末世でも又盲目となる諸人の命を助けて下さい」と云って消へて行った。玉都は自分の考えの浅さを知り早速く小高城の城主充胤公に言上した。充胤公は直ちに大蛇退治の作戦を練った。千葉新五左エ門、浮島太郎を先陣に門馬、水幡、末、太田、岡部六郎、其の他総勢三、七〇〇余騎が大悲山に向った。しばらくすると天地を揺るがす大暴風雨となり、大蛇が池の中から姿を現した。角は枯木の様であり目は日月の如く光り二丈ばかりの顔をのばし襲いかヽって来た。七人の侍は一瞬親重代の太刀を抜いて真一文字に切るかヽったが大蛇はものともせず七人を池の中に引き入れようとした。これを見た充胤公は妙見大菩薩八幡大菩薩、国主大明神、愛宕大権現、諏訪大明神、鹿島大明神を一心に大願を発すると、大蛇は神通力が薄れたのか一瞬ひるむ隙に岡部六郎が大音を発して大蛇の首を切り落した。その首が虚空に飛び上り言の中から「只今の恨みは三年のうちにはらすぞ」と声高々に聞えたが、その后何事もなく村に平和が続いたと云う事である。
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