風流 鬼若鯉つかみの体

1番運行
物語部門

風流鬼若鯉つかみの体

松風会囃子:不明

解説

歌舞伎狂言の中で鯉魚(リギョ)の精と水中で格闘する演技を鯉つかみ物と言って居ります。
此の場面は武蔵坊弁慶の少年時代の物語りです。
姫路城より北西約二里の地点に書写山円教寺と言う、西国三十三番中の二十七番目の寺があり、この寺の稚児、鬼若丸は学問手習はなんのその、兵法の稽古ばかりしていました。ある時、寺の小坊主達がワァワァと大声でさわぎたてているので鬼若丸が行って見ると、目の下八尺余もある大鯉を捕えようとしているところでした。
「なんだ、これしきのものおのれ一人で沢山だ」とくだんの大鯉の背にひらりと飛び乗り持ちたる短刀を振りかざし、ただ一つきに突き刺しました。
後にこの鬼若丸は昼寝の顔にいたずら書きをされこれを怒かって一山に火をつけ焼き払いましたが、そのとがで書写山を追われ比叡山に篭もって修業ののち源義経に仕え忠義をつくしたのであります。
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