風流 弁慶衣川の立往生

15番運行
物語部門

風流弁慶衣川の立往生

新庄ヘルスセンター囃子:不明
1968_15

解説

今を去ること七百八十年前兄頼朝の追手より逃がれた義経一行は秀衡の居城平泉にたどりついた。それも束の間秀衡の死の後四代泰衡は鎌倉幕府の、いあつに耐えかね、自から兵三百余騎をひきつれ義経り館、高舘に火を放ち襲う。義経すでにこの事あるを知り、弁慶はじめ忠勇無二の家来を前に、「最後が来た、何事も運命じや。舘に火が上らば義経の最後と思へ。」と静かに立上つた。
やがて門外での乱戦乱斗…………全身鵑だらけの弁慶は最後の武者振り勇しく薙刀を杖に逃げる敵を追つかけていたとその時高舘に火の手があがり、義経の最後の合図が弁慶の血みどろの目にうつつた。義経時に三十一才、主君の最後を拝むとさすが弁慶もグツツと泰衡勢をにらめつけたまゝ立ちはだかり、立つたまゝ悲壮義烈な往生をとげた。
世にこれを弁慶の立往生という。弁慶の最後まで主君に尽せし忠勇義烈の精神は八百年の星霜を経るも武士道のかがみとして今に伝う。
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