昔むかし、京の都では「夜になると五条大橋に大きな薙刀を抱えた恐ろしい大入道が現れて、持っている刀を奪い取る」という噂が流れ人々はとても怖がり、日が暮れると五条大橋には誰も近づきませんでした。その大入道こそ、太刀千本を奪い取る誓いを立てた武蔵坊弁慶でした。
今宵、最後の一本を奪い取るため、五条大橋で弁慶が待ち構えていると、少年が笛を吹きながら現れました。少年は小柄でありながら腰には立派な太刀を佩いていました。それもそのはず、この少年こそ後の源義経、牛若丸であったからなのです。
弁慶は薙刀で切りかかりますが、牛若丸はひらりひらりと欄干を飛び渡り、弁慶をこらしめてしまいました。降参した弁慶は牛若丸の家来となります。
義経と弁慶の出会いを描く「五条大橋」の名場面です。