参拝で出会った兄弟。大庭、俣野に刀の鑑定を頼まれた梶原平三は、それが紛れもない名刀と判断。俣野に「いかに名刀であっても切れ味が悪くては鰹かきも同じ事」といわれてしまう。六郎太夫は必死に「二つ胴も易い事」と試し斬りを願い出る。だがあいにく試し斬りできる罪人は一人しかいない。源氏再興の軍資金のため金がすぐにでも必要な六郎太夫は、焦りの余り自分の体を試し斬りに提供することになる。鑑定をした責任から、その試し斬りをかって出た梶原は、六郎太夫を縛った縄を斬ったところでピタリと止まった。俣野に鑑定眼を疑われて詰められてしまう。六郎太夫は自害しようとするが親子の素性を見破った梶原は止め、本心を明かす。「今は平家方の侍だが魂は頼朝の源氏方にある」と。名刀である証拠に、石の手水鉢を真っニつに斬って見せる。この梶原という男、平家に属しながら挙兵して間もない頼朝の器量を見抜き、頼朝の危難を救った男であった。