風流 “俊寛”

10番運行
歌舞伎部門

風流“俊寛”

下万場町若連囃子:小泉囃子若連

解説

平家滅亡の謀ごとの破れた俊寛と、康頼と成経の三人は鬼界ヶ島の流人の身となって、淋しい毎日を送っていました。その暗い生活にもほのかな明るさ、それは成経と島の娘の間に恋か芽生えたからでした。ある日、都から来ました。それは瀬尾と丹左工門が流罪赦免の状を持って乗っていたのでした。三人の喜び、ところがどうしたことか、俊寛の名が洩れていましたが、幸いにも小松内府の計らいで俊寛も赦免されて天にも昇る心地、が、干鳥の乗舟を許されたとなって成経も困りました。瀬尾はいよいよ意地悪くなるばかり、とうとう俊寛は瀬尾を斬りました。都へ帰っても妻子どもになくなった俊寛には浮世にのぞみがなかったので千鳥に代って島に残ろうと決心したのでした。舟は次第に沖へ……それをじっと見送る俊寛の眼にはいっぱいの涙でした。
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