吉野は一面、桜の花。兄継信の敵、能登守教経を討つよう命じられた佐藤忠信は勇ましい扮で兄の仇を散ぜんと花矢倉にて勇み立つ。漸く姿を現した教経と斬 り結び、恨みのー太刀を浴ぴせる。そこへ 安徳帝を供奉した義経、静御前が姿を現す。義経の恩を感じた教経は安徳帝を伴い、帝の母建礼門院がおられる小原の里へいった後、出家をしてー門の菩提を弔うことを誓う。これを聞いた義経は弁慶を先達にして奥州へ。静は忠信を供に 達れて大和の源九朗狐の里へ。それぞれ の宿命を負って別れ別れの道を歩んでいくのであった。