鞘当とは、初代市川團十郎の初演以降、歌舞伎十八番「不破」として現在に至り、「浮世柄比翼稲妻」の一幕として上演されている。 現代でも恋敵の男二人がー 人の女性を巡リ争うことを鞘当という。 場面は花の吉原仲の町、優美な「名古屋山三」と武骨な「不破伴左衛門」。こ の二人の武士が互いに横恋慕している絶世の美女、傾城「葛城太夫一」を巡リ、往来 での行き違いにわざと刀の鞘を当て、白刃を抜いての争いになる。茶屋女将「お近」の仲裁により、白刃を交換して納める。この時、名古屋は父の仇が不破であ ることを見抜くが、この場はお近の顔を 立て後日期すのであった。