平安中期の武将源頼光の四天王の一人渡辺綱が、羅生門で茨木童子（鬼）の腕を切り落とし、唐櫃に納め、安倍晴明の勘文によって七日間の物忌みに引きこもった。するとそこへ津の国から伯母がはるばる面会に訪れるが、なかなか会おうとしない綱に、門外から無情を恨み、養育した昔の苦労をくどくどと物語る。さすがに綱も心が折れて、伯母を家に入れると中では酒宴が行われ、綱の家来の右源太の所望により、伯母は舞を舞う。後に綱が切った鬼の腕を見せよと所望し、伯母は隙を窺って腕を奪うや、たちまち悪鬼（茨木童子）の姿に変化し、綱の館を逃げ去る。皆様ご存知、新古演劇十種『茨木』の名場面であります。
