壇ノ浦の合戦は、終わりに近づいていました。源氏は、平家の息の根を止めようと迫ります。源氏の猛政に平家の敗色が濃くなる中、一艘だけ例外がありました。船首に立つのは平教経、大太刀・大長刀を左右に持ち、片っ端から敵を海へと放り込んでいます。そんな中、教経は「狙うは源義経ただ一人」とし、ものすごい形相で飛び掛かって来ます。これを「叶わじ」と見た義経は、二丈ばかり離れた味方の船にゆらりと飛び移ります。教経も追いかけますが、小柄な義経はひらりひらりと船から船へと飛び、ついには姿が見えなくなりました。教経は唖然と見送るしかありませんでした。これが世にいう義経八艘飛びです。