鎌倉八幡宮の社頭、「清原武衛」は坂東一帯を手中に収め、自ら関白の位につこうとしています。そして、今もお家再興を願う「加茂次郎」の一族に難癖をつけ、皆を殺し「加茂次郎」の許嫁「桂の前」を横取りしようと画策します。そして、悪役社頭の手下に今まさに理不尽にも斬り殺されよう瞬間、勇者「鎌倉権五郎景政・巴御前」の二人が大太刀を持って「しばらく、しばらく」と言いながら登場。何とか二人を追いやろうとする悪人ですが「権五郎・巴御前」の迫力に震え上がります。「権五郎・巴御前」は、「武衛」の無法を詰問し、善人を助け悠々と引き上げていきます。
本来、歌舞伎の演目では「暫」と「女暫」が同一の場で演じられることはありませんが、同様のすじ、同様の登場人物であることからコロナ禍の中、市中の悪鬼(悪気)を祓いたいと「鎌倉権五郎景政」と「巴御前」の体裁といたしました。