兄の源頼朝から謀反の疑いをかけられた源義経は、鎌倉方と敵対するのを避けて、伏見稲荷まで来ました。都落ちする義経の前に、家臣の佐藤忠信が到着。義経は、後白河法皇から賜った〈初音の鼓〉を制御前に渡し、忠信に自分の鎧と「源九郎義経」の姓名を与え、守護を命じます。
幼い安徳帝を典侍の局と共に守護する平知盛は、西海での合戦後、船宿の主人・渡海屋銀平に姿を変え、義経に海上で戦いを挑みます。
吉野に落ち延びた義経を尋ねる静御前。付き随う忠信は、静が持つ〈初音の鼓〉になぜか心惹かれる様子。そして、義経のもとに、もう一人の忠信が!静に同行した忠信の正体は、狐(源九郎狐)であると判明します。
親狐皮が張られた〈初音の鼓〉を慕う狐の様子に、義経は心を打たれ、狐に鼓を与えます。狐は大いに喜びながら、いずこともなく去って行くのでした。
通し狂言とは、歌舞伎などで、一つの狂言を序幕から大切まで全幕、またはそれに近い場割りで通して上演することをいいます。