風流 左甚五郎昇天の竜

3番運行
物語部門

風流左甚五郎昇天の竜

大正町若連囃子:不明

解説

時は江戸時代、大工銭五郎は将軍家の命に依り、上野寛永寺に納める竜を彫るに、竜の姿を一目見たいものと、上野不忍池の弁天様に三七、二十一日の願を掛けたが、満願日にも成就せず、落胆しての帰り道、不忍池のほとりに一人の美しい女が佇んでいた。不審に思い甚五郎が問いかけると「妾がお前の願いを叶えてやる」と云つて美女は池に身を投じた。すると不思議にも弁天様が現れ出て、甚五郎驚ろく間もなく、一天俄かに掻き雲り雷鳴轟く中に一匹の竜が昇天したのであります。
これを見た甚五郎は、之こそ意中に描きし竜なりと日夜精根を傾注して、後世に名人とうたわれた水飲竜の名作を遺したのであります。
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